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職人技と芸術「一丸」 “出場”辞退の砲丸がアートに 

2008.8.5 22:12
北京五輪用には供給しなかった辻谷政久さんの砲丸は、五輪開会式当日に開かれる彫刻展で美術品として展示される北京五輪用には供給しなかった辻谷政久さんの砲丸は、五輪開会式当日に開かれる彫刻展で美術品として展示される

 北京五輪が開幕する8日、競技用としての北京への“出場”を辞退した埼玉県富士見市の町工場「辻谷工業」の砲丸が島根県益田市で開かれる彫刻展でアートとして展示される。工場社長、辻谷政久さん(75)の砲丸は、アトランタからアテネまで3大会連続で五輪の表彰台を独占した「魔法の砲丸」として知られるが、北京への提供は拒否した。新たな命を得た自身の砲丸に、辻谷さんは「技術者と芸術家が見事に融合できた」と話している。

 砲丸がアートして出品されるきっかとなった3月31日付の本紙「すごいぞ日本」の記事。

 過去3大会で、メダル獲得者全員が辻谷さんの砲丸を使用していたが、北京では中国国民の反日感情やスポーツ観戦のマナーに疑問を持ち、「砲丸は私の分身です。とても中国には出せない」と、砲丸を送ることを拒んだ−と、辻谷さんを紹介した記事を読んだ東京造形大教授の三木俊治さん(62)が職人としてのプライドに感動。砲丸を1つ購入して自宅に飾った。

 「このままでも十分作品だけど、もっと芸術として表現してみたい」

 偶然自身の彫刻展初日も五輪の開会式と重なる。何かの縁と、思い切って辻谷さんに電話をかけた。「ぜひ砲丸を作品として使わせていただきたい」。見ず知らずの人物からの突然の申し出に、興味をそそられた辻谷さんも「では一度お会いしましょう」と快諾。意気投合したふたりの合作が6月に誕生した。

 地球に見立てた砲丸の、赤道にあたるその円周には、ぐるりと人の行列が描かれている。「行列というのは、未来に向かって一人一人が形作る奇跡の形」と三木さん。五色作って並べると、五輪のマークがイメージできる。

 「雑誌の表紙に紹介されたことはあるが、美術品として展示されるのは初めて。私の砲丸が、芸術という未知の世界にもとけこむことができ光栄だ」と辻谷さんはいう。

 彫刻展「0∞0∞0∞」は24日まで「草花舎」で。問い合わせは0856・27・0592

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