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職人技と芸術「一丸」 “出場”辞退の砲丸がアートに
北京五輪が開幕する8日、競技用としての北京への“出場”を辞退した埼玉県富士見市の町工場「辻谷工業」の砲丸が島根県益田市で開かれる彫刻展でアートとして展示される。工場社長、辻谷政久さん(75)の砲丸は、アトランタからアテネまで3大会連続で五輪の表彰台を独占した「魔法の砲丸」として知られるが、北京への提供は拒否した。新たな命を得た自身の砲丸に、辻谷さんは「技術者と芸術家が見事に融合できた」と話している。
砲丸がアートして出品されるきっかとなった3月31日付の本紙「すごいぞ日本」の記事。
過去3大会で、メダル獲得者全員が辻谷さんの砲丸を使用していたが、北京では中国国民の反日感情やスポーツ観戦のマナーに疑問を持ち、「砲丸は私の分身です。とても中国には出せない」と、砲丸を送ることを拒んだ−と、辻谷さんを紹介した記事を読んだ東京造形大教授の三木俊治さん(62)が職人としてのプライドに感動。砲丸を1つ購入して自宅に飾った。
「このままでも十分作品だけど、もっと芸術として表現してみたい」
偶然自身の彫刻展初日も五輪の開会式と重なる。何かの縁と、思い切って辻谷さんに電話をかけた。「ぜひ砲丸を作品として使わせていただきたい」。見ず知らずの人物からの突然の申し出に、興味をそそられた辻谷さんも「では一度お会いしましょう」と快諾。意気投合したふたりの合作が6月に誕生した。
地球に見立てた砲丸の、赤道にあたるその円周には、ぐるりと人の行列が描かれている。「行列というのは、未来に向かって一人一人が形作る奇跡の形」と三木さん。五色作って並べると、五輪のマークがイメージできる。
「雑誌の表紙に紹介されたことはあるが、美術品として展示されるのは初めて。私の砲丸が、芸術という未知の世界にもとけこむことができ光栄だ」と辻谷さんはいう。
彫刻展「0∞0∞0∞」は24日まで「草花舎」で。問い合わせは0856・27・0592

