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井上雄彦 最後のマンガ展 空間に活きる漫画の創造力 (1/2ページ)
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漫画は手に取って読むものだと思っていた。東京・上野の森美術館で開催中の「井上雄彦最後のマンガ展」は、そんな常識から離れて絵を眺めるように空間の中で漫画を体感する、独創性に満ちた展覧会だ。しかも作品が読めるのはこの場限り。「バガボンド」や「スラムダンク」と、漫画史上に残る大ヒット作品を送りだした井上雄彦(たけひこ)さん(41)に、漫画表現の可能性に挑戦した思いを聞いた。(堀晃和)
約150点の描き下ろしを展示する本展の特徴は、美術鑑賞をするように館内を巡りながら一つの物語を読めるようにした点だ。「モーニング」(講談社)に連載中の「バガボンド」(現在28巻)がモチーフ。宮本武蔵の軌跡を描き、単行本の売り上げが約5000万部という人気作品の、新たな1話が展開する。
「漫画を描くのは、ぼくが何かを創(つく)って与えているわけではなく、読む人自身の心の奥底を揺さぶり、もともとあるものに気付いてもらうことだと思うんです。そのためには空間の中で体感してもらうことが必要だという思いにたどり着いた」。定まった大きさの紙にコマを区切り、本にするという制約や義務から解放され、もっと自由になりたいという思いもあった。「最初で最後だと思ってやりました」
「バガボンド」を選んだのは「表現上のチャレンジをしてきた漫画だから」。言葉に頼らず、絵や表情で伝えるように心がけ、途中(15巻)からはペンを筆に換えた。展示作品も、ケント紙に筆やペンで描いたものと、和紙に筆を使ったものを組み合わせた。


