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【写真劇場】日本最大の湿原 「釧路」にようやく春がきた (1/5ページ)
5月下旬、慌ただしく通り過ぎた桜前線に目を覚まされたように、釧路(くしろ)湿原では、小さな花々がいっせいに咲き始めていた。タンチョウは孵化(ふか)したばかりの黄色い綿毛のヒナに餌を運ぶために、緑のにじみ始めたキタヨシの群落を長い足で歩きまわる。手袋をした手を伏せたように湿原に張り出した丘陵地帯でもミズナラの若芽が芽吹き、悠々と蛇行する釧路川の岸辺には、ハンノキが灰色がかった新緑を靄(もや)のようにうっすらまとっている。遅い春の盛りを迎えた釧路湿原を訪ねた。
■シーン1
釧路湿原のなりたちは、内陸に大きく入り込んだ広く浅い湾が、海水面の変動と、海岸線に発達した砂丘によって海から切り離されたことに始まる。内陸に取り残された湾は淡水化し、約3000年前までに、日本最大の湿地となった。植物が十分に分解されずに堆積した泥炭が基盤となり、ミズゴケやスギゴケが積み重なってできた沼地にキタヨシの群落が広がっている。川が運んだ土が堆積して乾燥が進んだ場所にはハンノキの林が出現する。この湿地に、キラコタン岬や宮島(みやじま)岬など、海だった時代を思わせるような名を付けられた丘陵地帯が張り出し、また塘路湖(とうろこ)を初めとする湖沼が多く点在して複雑な地形を形成している。









