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「北欧モダンデザインの父」に触れる アルヴァ・アールト (2/2ページ)
おそらく著者もそこを意識したのだろう。周囲の木々、花、雪、湖、そして空。写真にその場の臨場感を、空気をも写そうとしている。例えば夜、窓から明かりの漏れる「ヴィラ・シルツ」の写真は、そこに人がいたころを彷彿(ほうふつ)させる。
今、人はいないが死んではいない家の形態とも考えられる。フィンランドではサマーハウスを持つ人が多く、本書に登場する物件も別荘として作られたものが多い。休んでは、また息を吹き返す。そんな気配もある。
また、「エンソ・グッツァイト社宅」は今も実際に住宅として機能している。ここには本当に住んでいる人の息づかいが感じられる。アールトの住宅は死んではいなかった。
カバーを外すと、明るい水色の布張りになっている。これはフィンランドの空の色だ。優しく穏やかな夏の光を思い起こさせる。(デザインジャーナリスト 渡部千春/SANKEI EXPRESS)

