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【灰色の記憶覚書】「5分」か「10分」か それが問題だ (1/4ページ)

2008.5.12 16:07
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【灰色の記憶覚書】今回は稽古をしながら自分の役を決めた演出家の長塚圭史さん=東京・森下のベニサンスタジオ(大山実撮影)【灰色の記憶覚書】今回は稽古をしながら自分の役を決めた演出家の長塚圭史さん=東京・森下のベニサンスタジオ(大山実撮影)

 4年だか5年だか3年ほど前、或(あ)る翻訳劇の稽古(けいこ)中、私がまともな休憩を取らないということに対して俳優がストライキを起こしたことがある。ストライキというほどのこともない。ただ「せめて30分休憩させたまえ」と直訴されたのだ。私とて休憩を取らなかったつもりはない。しかし3時間半、ほぼ4人の俳優の会話のみで進行していくというへヴィな内容を考えれば、「はい5分休憩して次は何何の場」というのは、うむ、確かに少々残酷であったのかもしれない。しかし時を忘れるほど私は稽古に夢中であっただけなのだ。ともあれその日、私はまったく尤(もっと)もなことだと大きく頷(うなず)き、俳優陣と共に稽古場近くの中華料理店へと向かった。

 久々のまともな休憩に満足顔の俳優たちであったが、私は麻婆丼だか何だかをすいすい平らげ、横目で美味(うま)そうに餃子だか何だかを食べている俳優さんの姿をつまらなそうに眺めていたようだ。すると俳優、「何でもう食べ終わってこっち見ているのかな! ゆっくり食べさせてくれたまえ!」。これまた尤もだと頷き、私は表に出、薄暮(はくぼ)の交差点でつまらなそうに煙草(たばこ)を燻(くゆ)らせる。あの時の私はいつになく貪婪(どんらん)で、早く稽古を始めたくて仕方がなかったのである。

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【灰色の記憶覚書】今回は稽古をしながら自分の役を決めた演出家の長塚圭史さん=東京・森下のベニサンスタジオ(大山実撮影)
【灰色の記憶覚書】5月8日に初日を迎えた「失われた時間を求めて」舞台より(加藤孝撮影)
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