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【露地庵先生のアンポン譚】森村泰昌 第13話 パリでは、遅れ気味がいい (1/3ページ)

2008.5.4 08:56
このニュースのトピックス美術・芸術
マレ地区のカフェにて(2008年4月撮影)マレ地区のカフェにて(2008年4月撮影)

 四月、パリを訪れた。ヨーロッパでは四月から夏時間に変わる。通常より時計の針を一時間早めた勘定になるので、人々の生活にもちょっとした混乱が生じるようである。

 たとえば昼時のレストランでは午後一時くらいが混雑のピークとなっていた。夏時間における午後一時は本来の正午だから、昼食のスタートが遅れ気味になるのも当然であろう。

 しかし人々の行動パターンをながめていると、遅れ気味のスタートというのは、どうも夏時間のせいだけではなさそうに思えてくる。

 私の渡航目的は個展の開催だった。画廊に電気工事の人が来るというので早めに行ったのだが、初日は一時間ばかり、二日目はえんえん待たされた。相手からの謝罪はなく、気楽に「ボンジュール」ではじまる。

 もしかしたら、定刻よりも早く来てしまうのは、パリではかえって失礼にあたるのかもしれない。「早めに来て待つ」、それは考えようによれば、「お前は遅い、早くしろ」と相手を暗黙のうちに批判する行為ともとれる。「早め」はむしろ「非礼」であり、「遅れ気味」こそが「礼儀」であるという論理もじゅうぶん説得力はある。

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マレ地区のカフェにて(2008年4月撮影)
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