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【町猫浪々】洋種でも和風に見える粋な路地 (1/2ページ)
ふと行きたくなる路地が東京都文京区にある。その辺りは、かつて住んでいた明治の文豪たち縁(ゆかり)の地として近年とみに注目され、週末などは旗を掲げた史跡巡りのツアー客にすれ違うこともある。
そこにはいまや少なくなった木造2階建て棟割り長屋が数棟残っている。路地に一歩入れば懐かしい時代にタイムスリップした気分に浸れるが、それもつかの間、屋根越しに見え隠れする近隣の新築住宅が、たちまち現実に引き戻してしまう。それも今日の東京では致し方ないところだ。
初めてその路地を訪れたとき、ここには必ず猫が住んでいると確信した。なぜなら彼らの存在を示す証しを見つけたからだ。それはつめとぎにより大きくすり減った玄関のガラス戸の木枠である。しかもその痕跡は真新しい。ところが、その時も、その次の時も見かけることはなかった。
すれ違いもそれまで。ある日、手が届きそうに低いひさしの上から、周りを眺めている赤い首輪をした2匹の猫に出会った。シャイで細身のメス猫と、カメラを向けると寄ってくるほど気の良いオス猫だった。
ところで前々から不思議に思っていたことがある。2階の物干し台に犬小屋が置いてあるのだ。犬がいる気配はまったくないのになぜだろう。だが、そこに件(くだん)の2匹が入るのを目にして、なるほどと納得した。


