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【写真集】『SUN』 日常の風景に温かな視線
このニュースのトピックス:美術・芸術
現代美術家、村上隆率いる「カイカイキキ」のアーティスト、佐藤玲がこのほど、初めての写真集『SUN』(パワーショベル、星雲社発売)を刊行した。何気ない日常のきらめきをとらえた196点が収録されている。
佐藤は昭和59年、山形県生まれ。主に写真の上にドローイングをした作品を発表してきたが、編集者の大森秀樹さんが彼女の写真に注目。それから半年間、佐藤は忙しい仕事の合間をぬって、主に埼玉にある工房への行き帰りの道程を、飽きもせず撮り続けたという。
技術的にすごい写真ではない。被写体もありきたりのものばかり。道端の草花、鳥、電車のホーム、建設現場、転がっているゴミ…。大森さんも「何が魅力なのか、考えてもよくわからない」と首をひねる。
「ただ言えるのは、媚(こ)びていないということ。彼女は差別しない。植物も動物も、軽四トラックもガラクタも、そして埼玉もアメリカも…。あらゆるものに一定量の愛情を注いでいるのが、写真から伝わってきます」
自身の内にあるコンプレックスや負の感情を、作品へと昇華させるアーティストは多いが、佐藤の作品からは、すべてを肯定してみせるおおらかさを感じる。彼女に一度でも会ったことがある人なら、タイトルの「SUN」は彼女自身だとわかるだろう。
写真集と連動し、今春オープンしたばかりの「カイカイキキギャラリー」(東京・元麻布)で佐藤の個展も開かれた(27日まで)。写真を転写したキャンバスの上に、ペインティングを施した作品も。その自由な筆のストロークは、縮こまった心を解放してくれるようだ。(黒沢綾子)

