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【ムツゴロウのいのち万華鏡】いま触れるアフリカの魂 (1/5ページ)
このニュースのトピックス:伝統芸能
砂漠は一瞬、海に見える。地形に応じて波があり、そのさざ波やうねりが、黄色、赤、白と色を変えて続いている。
美しいなと息を呑(の)む。汚れなき、清浄そのものの世界。厳冬期のアラスカやシベリアに似ているなとも思う。いのちあるものを拒否する自然の峻厳(しゅんげん)さ。
だけどね、生物はいるのよと砂漠研究所の女性が言った。甲虫やヘビやクモが住んでいるのである。湖や沼がなくても、彼らは、空気中から水分を得るのだと彼女は説明してくれた。
夜明け、海から押し寄せた霧が露になる。砂漠は、昼間は灼熱(しゃくねつ)地獄だが、夜になると、急に気温が下がるのだ。アラビアの砂漠を旅したとき、夜は甘美であり、ライラという言葉は夜を意味すると同時に、恋人を意味するのだよと教えられた。日の出前、氷が張ったりもする。
甲虫は、暗黒に這(は)いだして、後脚をピンと空に向けてじっとしている。すると、脚で、霧が露になる。そして、その露は、脚を伝って胴、胸へと流れ、自動的に口へと運ばれるのだ。
いのちは、自然に順応した形で存在している。千変万化し、この星は、いのちの万華鏡。






