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【ムツゴロウのいのち万華鏡】ヒヒが羊を守る ナミビアの珍事 (1/5ページ)
砂漠は海に落ちこんでいる。ずっとずっと、何百キロも砂の海岸線。
海の砂が吹上げられるというから、海の底も砂だろう。だけど、何もいないわけではないだろう。いのちは、どこにだってはびこる。
どんな魚がいるのだろう。
予備知識を得たくて、魚屋を捜したが、皆無だった。でも漁師はいるという。細々と漁をし、ホテルやレストランに卸すのだそうだ。
そうだ、と私は膝(ひざ)を叩(たた)いた。
この辺りは、遊牧民、ノマドが南下してきたのだ。太古から食文化を伝承してきた人たちではないので、魚に執着しない。
船を出した。肉を切って、適当な所にほうりこんだ。
すぐに、グッときた。立派なサバが釣れた。その美味(おい)しかったこと。丸々と太っていて、日本の秋サバの味だった。南氷洋から栄養あふれる潮が流れてくるので、海の中は砂漠ではないのである。
わが友ジェルミが、いろんな人と話しこみ、情報を集め始めた。知らない土地で行動する能力は、人一倍すぐれている男だ。
その努力が報われ、変てこな話を聞きこんできた。
「あのね、ムツさん、ヒヒが羊を守るというのよ。ライオンがいるし、チーターがいるし、こんな所で羊を放牧してると危ないでしょ。ヨーロッパでは犬が羊を守ってきたけど、ヒヒが守るってのは面白いよ」





