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【町猫浪々】オスに生まれたからには
知り合いの洋裁店で世話をされているシロ。まだ1歳にもならないというのに、早くもオトナの洗礼を受けていた。オスに生まれたからには避けて通れない、ボス猫との熾烈(しれつ)な縄張り争いである。
だが、その試練にも臆(おく)せず真っ向から対抗しているのは、彼の顔に刻まれた幾本もの引っかき傷が証明している。
オスどうしの激しい覇権争いは数多く見てきたが、年端もいかぬ子猫もその対象であると知り驚いたことがある。隣家のシンノスケは、人なつこくて気の優しい生後半年の子猫だった。ところがボス猫はそのちいさな身体を強引に組み伏せ、腹をけり、失禁させてしまうほどのいじめを頻繁に繰り返していた。
まるで大人が子供を真顔でいたぶるようにみえたその行為も、将来の敵の芽を早めに摘んでおこうとする、オスの本能のなせるわざなのか。(写真家 太田威重/SANKEI EXPRESS)
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■おおた・たけしげ 写真家。1944(昭和19)年、東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒。70年代後半から写真を撮り始め、80年代後半、バブル期の都市の荒廃を目にして以来、東京と猫をテーマに写真を撮り続けている。写真集に「東京−猫もよう」(平凡社)など。隔月刊誌「猫生活」(緑書房)に「東京町猫録」を連載中。


