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【町猫浪々】小さくとも 一人前の母心
このニュースのトピックス:「SANKEI EXPRESS」から
向島界隈(かいわい)を歩いた後、隅田川を渡って浅草に向かった。途中、なにげなく入り込んだ薄暗い路地の片隅に、一見して兄妹と分かる2匹の猫がたたずんでいた。思わず立ち止まり声をかけると、1匹は鉢植えの陰に身を隠したが、もう1匹は怖がる風もなく近づいてきた。
ファインダーをのぞきながら、シャッターチャンスを待っていると、突然フレーム内に子猫が飛び込んできた。カメラを構える私を気にもせず、その猫の懐に潜り込むやいなや夢中で乳を吸い始めた。どうやら授乳中を邪魔したらしい。あどけない顔付きと小柄な身体からは、どうみても1歳未満としかみえなかったが、すでに母親だったのだ。猫の成長は早い。1年足らずで出産することも、そう珍しいことではない。
母猫の寂しげな表情が心に染みた。帰り道、その情景がいつまでも頭から離れなかった。(写真家 太田威重/SANKEI EXPRESS)
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■おおた・たけしげ 写真家。1944(昭和19)年、東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒。70年代後半から写真を撮り始め、80年代後半、バブル期の都市の荒廃を目にして以来、東京と猫をテーマに写真を撮り続けている。写真集に「東京−猫もよう」(平凡社)など。


