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【露地庵先生のアンポン譚】森村泰昌 第7話 雑種の庭で (1/3ページ)
このニュースのトピックス:美術
だんだんと秋らしくなってきた。今年の長かった夏、私は多忙な日々をすごした。
仕事のせいではなかった。夏場に欠かす事ができない日々の水撒(ま)き、これがたいへんだったのである。書斎として使用している小さな住宅が露地にある(自称「露地庵」)。その横に猫の額ほどの庭がある(自称「露地庵庭」)。これとは別に、昨年父が他界したため現在閉店中の緑茶店が、車の行き交う道路沿いにあり、この家の北端にも植木が植わったわずかな土地がある。
露地庵庭にはハナミズキ、サツキ、マンサクなどの直植え、サルスベリ、ブルーベリー、オリーブなどの鉢植えがある。緑茶店のほうには酔芙蓉(すいふよう)。夏の朝、白い花をたくさんつけ、それが昼に近づくにつれ淡いピンクに、夕方にはさらに赤く色づく。翌朝には萎(しお)れてしまうのだが、別の枝からまた新しい白い花が咲く。名前どおり、一日かけてほろ酔い気分になってゆく芙蓉である。
と、解説すればじつに優雅だが、実情は素人が育てているありふれた植木の集まりにすぎない。植木職人が腕によりをかけた日本庭園でもなければ、いつも四季折々の花が咲いている華やかな英国式ガーデンでもない。血統書付きではなく、私の家の植木はさしずめ「雑種の庭」であろう。
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