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【次代への名言】竜馬がゆく編(3)
■「世の人はわれを何とも云はばいへ わがなすことはわれのみぞ知る」
引き続き、坂本竜馬を導く観音(女神)さまの話をつづりたい。
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』には2人の「乙女」が登場する。きのう紹介したお田鶴さまは架空の女性だったが、乙女はともに、実在する観音さまである。
「志士は溝壑(こうがく)にあるを忘れず(志士は自分の遺体が道端に捨てられることを覚悟のうえで国を救おうとする)」。幕末志士の生涯を象徴する孟子の格言だ。少年・竜馬は姉の乙女から漢籍の素読をまなんだとき、このことばに「ひどく感銘した」(「立志篇」)という。女丈夫(じょじょうぶ)だった乙女は、竜馬にとって「最初の武術の師」というイメージが強いが、志士の魂もまた、授かったことになる。
「姦吏を一事に軍(いくさ)いたし打殺(ぶちころし)、日本(ニッポン)を今一度せんたく(洗濯)いたし申(もうし)候」。こんな個性豊かな名文の数々は、乙女との文通のなかで生まれている。
また、冒頭の味わい深い歌、さらに≪文開く衣の袖はぬれにけり 海より深き 君が美心(まごころ)≫といった優美な歌は、乙女の手ほどきに由来する。彼女は、竜馬の文才を引き出した観音さまでもあった。
さて、もう一人の乙女は江戸っ子である。そして竜馬の許婚(いいなずけ)だったという。(文化部編集委員 関厚夫)