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【幕末から学ぶ現在(いま)】(35)東大教授・山内昌之 横井小楠 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:歴史・考古学
■国家ビジョンを描く
民主党には清新な印象を与える若い政治家が多い。しかし、政権交代による政官民癒着の構造の廃棄を語れば、自動的に新日本の姿が見えてくるわけではない。選挙対策用のマニフェストは、そのまま国のかたちや姿を説くビジョンにならないからだ。党と政府の関係で現在の混迷を招いたのは、新政権に幕末の横井小楠のような人物を欠くからではないだろうか。
坂本龍馬の「船中八策」や由利公正らの「五箇条の御誓文」の基礎となった横井小楠の『国是七条』や『国是十二条』のスケールは、国の大きな役割を考える上で現代政治にも参考になる。
参勤交代制度の廃止、人材簡抜(かんばつ)、海軍建設、通商貿易の奨励を幕府に説いた国是七条は、独立による「国是」(国益)の確定、正しい生活様式、賢愚を見抜く自由な言論の保証、学校の振興、士民への慈愛を新たな政治目標とする国是十二条に発展していった。
天下で恐ろしい2人
熊本藩の細川家では志を得られず、福井藩の松平春嶽(しゅんがく)(慶永(よしなが))に理想の君主像を見いだした小楠は、現実感覚の乏しい水戸斉昭の攘夷(じょうい)論に見切りをつけ、開国に舵(かじ)を切るべく春嶽をかついで京都でクーデターを起こし、一挙に朝廷の論議を変えようとする勇気をもっていた。
福井藩に提言した国是十二条は、有徳こそ国富の土台になるという主張につながる。勝海舟が「天下で恐ろしい2人」として西郷隆盛と並んで小楠を挙げたのは偶然ではないのだ。
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