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【話の肖像画】銀幕のクライマー(中)俳優・渡辺謙 大切なプロモーション
−−3年前の主演作「明日の記憶」(堤幸彦監督)では、プロデューサーも兼ね、宣伝活動や自ら米国での上映も手掛けました
渡辺 演じた俳優として映画館で見てくれるお客さまのため、作品の魅力を最後まで伝える責任があると思ったんです。映画作品はそれぞれ、においも味も違う弁当のような存在だと思う。実際にふたを開けてみなければ、においも味も分からない。でも、分からないままでは映画館に来てもらえないでしょ。僕はふたを開けて、「においはこうですよ。味はこうですよ」と伝えたい。実際に映画館に来てもらい、食べてみて味を確認してもらうために。
−−ハリウッドに進出したことも影響していますか
渡辺 海外へ出て何が一番大きく変わったかと聞かれれば、このプロモーションに対する意識ですね。映画を見てもらうためにどうするか。このためにハリウッドの映画人は凄(すざ)まじい努力をしています。「明日の記憶」以前、僕は俳優として、ただ工場の中で働いていただけの存在だったのだと知りました。でも、出来上がった商品をどう棚に並べ、どうお客さんに売るか。そのマーケティングの現場を間近で見て、宣伝のダイナミックさを学ぶことができた。俳優として、せめて商品を棚に陳列するまでは見届けるべきだと思った。俳優は工場を出るべきだと思ったんです。
−−「沈まぬ太陽」も米国など海外で見てほしい?
渡辺 非常に難しいでしょうね(笑)。「明日の記憶」の米国公開を手掛けた時にその難しさを実感しました。まず日本語という言語の問題。「沈まぬ太陽」の場合、字幕に加え、インターミッション(途中休憩)が入る3時間22分という長さ、それにテーマは正に“NIPPON OF NIPPON(日本の中の日本)”と言える日本的な内容ですから。恩地(主役の国民航空社員)の忍耐強さをアメリカ人は理解できないかもしれません。(戸津井康之)

