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【次代への名言】手塚治虫編(2)
■「おふくろが「お帰り」という代わりに「今日は何回泣かされたの?」と聞く。私は指を折って一回二回と数えて、「今日は八回だあ」」(『未来人へのメッセージ』)
手塚治虫は漫画でもエッセーでも、一流のユーモリストだった。でも、笑わせればいいというのではなく、哲学をもっていた。きょうはそんなお話を…。
「手塚君、君はこのまま医者をつづけても、ろくな医者にはなれん。必ず患者を五、六人は殺すだろう」。これは大阪大学で医学を専攻したものの、漫画家か医者か、と進路に迷っていたころの教授のことばだという。「あんたのやりたい方にお行きなさい」という最愛の母の助言もあって、彼は漫画家の道を歩む。
冒頭は、彼がいじめられっ子だった少年のころ、母子の間で、「日常的にかわされた」という会話だ。やはりユーモラスに描いてはいるが、悩みは深刻である。このとき、母は手塚に必ず、「我慢おし」「堪忍(かんにん)なさい」と言ってきかせた。もとはかんしゃく持ちの自分を甘やかさず、そうやって忍耐の尊さを母は教えてくれたのだ−と回想している。
手塚は旺盛なサービス精神から、わが身を切ってでも読者を笑わせた。が、下品なくすぐりは全否定した。彼はつづっている。「漫画の含む笑いの要素は、いちばん高級なやつでなければならない。猿の笑いと一緒くたでは困る」(文化部編集委員 関厚夫)
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