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【追悼】平岡正明さん 執筆を「芸」に高めた男 (1/2ページ)

2009.7.27 08:00
このニュースのトピックス伝統芸能

 いつの頃からか、「趣味? 革命」と言ってのけるようになっていた。「革命」と「趣味」との間の、かつてあり得た距離感を前提にしないと、この男前ぶりはわからない。それをあえて腕力一発、ぐいっ、と手もとで引き寄せようとする天衣無縫と、読後かすかにたゆたう愛嬌(あいきょう)こそが、平岡正明の身上だった。

 無冠のもの書き渡世の常、くたばっちまえばそれまで、一緒くたに「評論家」で片づけられちまう。上等だ。斎藤緑雨賞やら何やら、とりまきが晩年に投げ銭よろしくくれてよこしたガラクタなど、この際、まとめて忘れちまえ。この稀有(けう)で無頼な知性の軌跡はそれ自体、いまや地に堕(お)ちちまった「革命」を瀕死、かつ最高の水準で転生させんとひとり踊り続けた生涯一「左翼」、まさに奇跡のごとき存在証明だった。

 60年安保を戦後派若い衆として経験し、思想界隈(かいわい)にさっそうと登場、モダンジャズと革命を結びつけ、新世代のアジテーターぶりを存分に発揮、じきに犯罪からルポルタージュ、水滸伝経由で窮民革命論、と戦線を拡大、筒井康隆に山下洋輔トリオに赤塚不二夫にタモリに大藪春彦に山田風太郎に、もちろん極真空手と大山倍達、そして山口百恵を全身全霊でリスペクトしたあたりがひとつの絶頂。その後、歌謡曲から河内音頭をくぐって浪曲、新内と一気に「歴史」へ沈潜、大道芸に入れあげ、案外しぶく古書にも惑溺して、その語り口もまためでたく円熟の過程に入っていった。

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