MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。
[PR]

ニュース: 文化 皇室学術アートブックス囲碁将棋写真RSS feed

【from Editor】放射性炭素年代測定法の信頼性

2009.7.1 09:15
このニュースのトピックスfrom Editor

 放射性炭素年代測定法を使って箸墓(はしはか)古墳(奈良県桜井市)の築造を240〜260年とした国立歴史民俗博物館(歴博、千葉県佐倉市)の研究結果が各マスコミで大々的に取り上げられた。古代史上最大の謎、邪馬台国の所在地問題に直結するためだが、その報道のありようには一考の余地がある。

 同測定法は自然界に一定の比率で存在する放射性炭素(炭素14)を利用する。生物は死後、炭素を取り込まなくなり、年を経るごとに炭素14の濃度が低下。その濃度を測定することで、生物が死んだ絶対的な年代を特定する。が、年代ごとの濃度は一定ではないため、年代が確実な試料の炭素濃度データを蓄積したグラフ(較正(こうせい)曲線)を作成、それに照合することで年代を特定する。もちろん較正曲線に誤りがあれば、導き出された年代を間違えることになる。

 同測定法が注目されたのは平成15年5月、歴博が行った文部科学省での発表だった。弥生時代早期の土器の付着物を測定した結果、弥生時代の開始時期は定説である紀元前5世紀を500年さかのぼる紀元前10世紀と発表した。

 その発表を現場で取材し、まず疑問に思ったのは鉄の問題だった。日本最古とされる福岡・曲(まが)り田遺跡出土の鉄斧(てっぷ)は弥生早期の地層から出土したとされ、歴博の発表通りとすると、中国・西周時代にすでに日本に鉄製品が存在したことになる。鉄斧は鋳造とみられ、中国で鋳造の鉄が流通するのは西周、春秋に続く戦国時代(前403〜前221年)とされる。中国より先に日本に鉄製品があったというのは説明がつかない。

 歴博側はその後、曲り田遺跡の鉄斧の出土報告に疑問があると主張しているが、論争に決着がついたわけではない。さらに、九州大学の研究チームが曲り田遺跡の弥生早期の地層から出土したシカの骨を同測定法で測定した結果、紀元前600年ごろと発表、歴博側との隔たりは大きい。

 今回の発表は、箸墓古墳の周濠(しゅうごう)から出土した土器付着のススを測定した結果で、中国の史書・魏志倭人(ぎしわじん)伝に記された邪馬台国の女王・卑弥呼(ひみこ)の死亡時期(248年ごろ)がその範囲に入り、歴博側は「箸墓古墳は卑弥呼の墓が確定的」とまで明言した。確かに最近の考古学の研究成果に近い結果であるのは間違いない。が、弥生の開始時期問題もまだ、歴博説が定説となっているわけではない。重要な物差しである可能性はあるが、報道に当たってはなお、慎重さが求められる。(大阪編集長 上坂徹)

[PR]
[PR]
PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2009 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。