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【ソロモンの頭巾】長辻象平 モースが見た“江戸”の空 (1/2ページ)
今年中に日本の「中期目標」が決まる。年末には「ポスト京都」の枠組みが決定される。何のことかと言えば、地球温暖化防止のための二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減計画と国際交渉の話である。
今の地球を人体にたとえると、発熱で寝込みかけている状態だろう。風邪をひくと1度の熱でもかなりつらいが、世界平均気温も同様だ。この100年間で0・74度上昇している。
近年は、10年で0・2度のペースになっているから大変だ。大気圏に熱エネルギーが蓄積されて気候変動を引き起こす。
温暖化というより広域熱汚染だ。影響は人の健康や食糧生産にも及ぶ。動植物の分布域も陸上、海中の区別なく急速に変化する。
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江戸時代の人が、今の世の暖冬ぶりを知ったら仰天するだろう。江戸の冬は寒かった。
安永2(1773)年と翌3年には、隅田川が結氷して舟の運航が止まっている。
天明元(1781)年にも川の氷を割って舟を通した記録がある。文化9(1812)年も隅田川が凍ったそうだ。
200年前の文化6(1809)年には西洋自然科学者の司馬江漢(こうかん)が気温を測定している。
「予(よ)所持する寒暖昇降を以(もっ)て暑寒を計る」として11月から翌年1月10日までの気温を記録した。日中でも0度や6度どまりであったらしい。
明治10(1877)年に来日した米国人のエドワード・モースは、江戸の面影を残す東京の大気環境のすばらしさに感銘を受けた。高台からの視界には、人口100万に近い大都市でありながら、煙を立ちのぼらせる煙突の1本も見あたらない。
当時の欧米の「都市の上空は、常に排煙と煙霧の天蓋(てんがい)で厚く覆われ、太陽もぼやけるほど」の状態だった。
それに比べ日本の「都会の大気は、驚嘆すべき澄明さと純度を保っている」と書いている。