ニュース: 文化 RSS feed
アンコール遺跡の発掘できず バンコク空港閉鎖で奈良文研、出発断念
【シエムレアップ(カンボジア)=小畑三秋】世界遺産の石造寺院として知られるカンボジアのアンコール遺跡群にある「西トップ寺院」(9〜14世紀)を奈良文化財研究所(奈良市)が調査、修復するプロジェクトで、タイ・バンコクのスワンナプーム国際空港閉鎖の影響で研究員がカンボジアに入国できず、今月初めから予定していた発掘調査が延期に追い込まれたことが4日、わかった。ただ、韓国経由で現地入りできた別の研究員がおり、同日はプロジェクトのもう一つの目的としている寺院の倒壊防止作業を実施したという。
西トップ寺院は、アンコールワットの北西約3キロに位置し、高さ8メートル、幅24メートルの中央祀堂(しどう)がそびえる。同研究所は平成10年から発掘調査を続けてきた。
今回は、研究員3人が12月1〜8日の日程で寺院南側の発掘を予定していたが、11月30日にバンコク経由で現地入りするはずだった発掘担当の2人が、空港閉鎖のあおりで日本からの出発を断念。このため、発掘調査は来年1月に延期することに決定。
一方、杉山洋・同研究所飛鳥資料館学芸室長は韓国経由で無事に入国できたため、今回は倒壊防止に向けた作業にしぼって、足場の設置と測量などを8日まで行うことにした。この日は、現地の作業員10人近くが、中央祀堂周囲に高さ約8メートルの保護用足場を鉄パイプを組み合わせて設置した。
ジャングル内に築かれた西トップ寺院は、熱帯林の根や幹が建物を侵食しており、倒壊防止と修復が緊急の課題。そのため今年6月から、高松塚古墳(奈良県明日香村)の石室解体に携わった石工の左野勝司さん(65)と、解体装置を開発したクレーンメーカー「タダノ」(本社・高松市)が現地に赴き、修復に向けたプロジェクトを進めている。
杉山室長は「海外の調査はどんなトラブルがあるか予想もできず、今回は安全面を優先して発掘は見送った」と話した。