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【次代への名言】11月22日・近松門左衛門

2008.11.22 03:52
このニュースのトピックス強盗事件

 ■「庭も心も暗闇(くらやみ)に、うち撒(ま)く油、流るゝ血。踏みのめらかし、踏み滑り。身うちは血潮の赤面(あかづら)赤鬼」(近松門左衛門『女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)』)

 「日本のシェークスピア」の評に間違いはない。享保9(1724)年のきょう、大坂で没するまで、近松門左衛門は40年にわたって人形浄瑠璃・歌舞伎作家として活躍し、『曾根崎心中』や『冥途(めいど)の飛脚(ひきゃく)』『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』などの名作を110編以上、後世に残している。

 冒頭は、強盗殺人事件という、近松にしては特異な題材を扱い、晩年に近い享保6年に初演となった『女殺油地獄』の大詰め、放蕩(ほうとう)息子の与兵衛が金ほしさに知人の油商の妻、お吉を襲い、血と油にまみれて刺殺する場面の描写である。興味深いことに、『女殺』は初演当時、評判とならず、明治以降、さらに戦後、近代・現代人の心の病巣をえぐる作品として注目を浴びるようになったという。

 近松は極悪人の与兵衛にも人間性を与えた。終幕、与兵衛はいっさいを白状し、悔恨のことばを口にしたあと「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱え、捕縛される。だから、観客は少しでも救われた気分になる。一方、45年前のきょう、米国・ダラスで起きたケネディ大統領暗殺事件。単独犯とされた男は法廷で真実を述べることも、悔悛(かいしゅん)を口にすることもなく、逮捕の2日後、射殺された。「残るは沈黙」−いや、いまなお消えぬ苦い後味である。

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