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【次代への名言】11月21日・半井桃水

2008.11.21 03:35
このニュースのトピックス対馬が危ない

 「日本は父の国朝鮮は母の国、恩に愛に固(もと)より厚薄(こうはく)の別あることなく父母両国共に栄え行かんこそ宿年(しゅくねん)の望(のぞみ)なれ」(半井桃水(なからい・とうすい)『胡砂(こさ)吹く風』)

 時代は明治、「新聞小説記者」という職業があった。記事ではなく、小説を新聞に寄稿するのが仕事で、半井桃水(1860〜1926)はその売れっ子の一人(だから樋口一葉が入門し、桃水は彼女の“心の恋人”となった)だが、海外特派員の先駆けでもあった。

 対馬藩医の家庭に生まれ、少年時には父に同行して朝鮮に赴いた。このとき、征韓論の発端となった釜山の明治政府批判の掲示(漢文)を書き写した、と彼は後年述懐している。21歳の年に再び釜山に渡り、朝日新聞の特派員として活躍。そんな桃水の代表作が19世紀後半の朝鮮半島を舞台にした『胡砂(中国北方からの砂塵(さじん))吹く風』。冒頭は、薩摩藩士の父と朝鮮貴族の母を持つ主人公・林正元のことばである。

 林は「文学武芸に秀で」た美青年。父の国の力を借りながら母の国を近代化し、独立を維持するために尽くし、最後は日本人として朝鮮王朝の最高顧問に迎えられる−というのが粗筋(あらすじ)だ。

 きょうが命日の桃水はこの作品に日韓、さらに中国を含めた「東洋連合」の夢を託した。だが、彼の故郷・対馬の現状と論議一つ考えても、その実現はまだ夢物語−小説のなかだけの話である。

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