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【断 呉智英】「大東亜戦争」名称肯定論

2008.10.4 03:30
このニュースのトピックスコラム・断

 十月一日の朝日新聞が「『大東亜戦争』首相が表現」と報じている。前日、首相官邸で記者団と談話の際、麻生首相が先の大戦を「大東亜戦争」と表現したというのだ。記事中、言葉の解説として「『大東亜戦争』は当時の政府が決めた正式名称だが、戦後、GHQ(連合国軍総司令部)が公文書での使用を禁止」とあるほかはほとんど事実報道だけで、論評にあたる文章がないのが興味深い。

 悪意にとれば、首相の失言を取り上げてみたものの、よく考えると別に失言ではないので中途半端な記事に終わったとなろう。善意にとれば、首相の発言を機に「大東亜戦争」禁圧の経緯を読者に啓蒙(けいもう)しようとする苦心の記事だと言えよう。私は善意に解釈したい。

 終戦後の一時期GHQ(実質、米軍)は原爆被害の報道も禁圧。「大東亜戦争」はその言論弾圧の一環として使用が禁止された。言論の自由を叫び、反米の姿勢の強い左翼・革新人士が米軍のこの言論弾圧の共犯者であることに彼らの不誠実と無知が表れている。

 大東亜戦争を「大東亜戦争」と呼ぶことは、その評価とは別だ。他でも書いたが、私は全共闘の学生だった頃、ベ平連の指導者小田実の著作で、大東亜戦争には欧米列強からのアジア解放戦争の一面があったことを教えられた。同時に、この戦争が理念とは裏腹に内外民衆に多大な惨禍をもたらしたとの認識も揺るがない。かかる矛盾した戦争の性格は「大東亜戦争」の名称であってこそ読み取れる。歴史の隠蔽(いんぺい)と偽造に加担してはならない。(評論家)

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