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【試行私考 日本人解剖】第3章 ルーツ 神話を読み解く(1) (1/3ページ)
≪南方系要素≫
現存する日本最古の歴史書は、奈良時代初期(712年)の編纂(へんさん)とされる古事記だ。そこには天地の始まりから神々の話が展開され、推古天皇までの日本民族の“起源”が記されている。
古事記の神話には世界各地の神話の要素が混在しているといわれてきた。アマテラスの孫、ニニギが「日向の高千穂」に降り立つ“天孫降臨”は朝鮮半島の建国神話と類似し北方系とされる。一方、殺された女神の体から五穀の種が生まれる“オオゲツヒメ神話”は南方系といわれる。
三浦佑之千葉大教授は、古事記神話の基層にある人間観は、北方より南方の色彩が濃いとみている。
インドネシアには「最初の人はバナナから生まれた」とする神話があるが、古事記では「葦かびの如くもえあがる物によりて成れる神」として人の元祖となる存在の出現が語られ、人は「うつしき(命ある)青人草(あおひとくさ)」と記述される。三浦教授は「人は“草”そのもので、循環する自然の中で有限の生命を与えられた存在と認識された。植物を人の起源とする発想は、環太平洋の特徴」と話す。
南方系要素はいつ、どのように伝えられたのか。三浦教授は、古事記の出雲神話で“稲羽(いなば)のシロウサギ”とともに登場するサメに着目する。「サメは沖縄など南の海洋民の神話に共通する。一方、出雲のヤマタノヲロチ神話は、『高志(こし)の八俣(やまた)の大蛇(をろち)』の“高志”が北陸を意味し、出雲と北陸の関係を反映している。沖縄と日本海沿岸を結んでいた“海の道”で伝わったとみられる」。
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