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【試行私考 日本人解剖】第3章 ルーツ 二重構造は語る(1) (1/4ページ)
■酒に強い「博多人」の謎
≪酒酔い遺伝子≫
列島先住民の縄文人と弥生時代以降に大陸からきた渡来人という2つの系統の集団から成り立つ日本民族の「二重構造」。渡来人の拡散や縄文人との混血の状況は場所によって異なり、前回みたY染色体DNA型の分布のように日本人にさまざまな地域差をもたらしている。酒に対する強さも、その一例だ。
人の酒の強さは、アルコールを飲むとできる「アセトアルデヒド」という毒性物質を肝臓で分解・無害化する「アルデヒド脱水素酵素」の一つ、「ALDH2」の働き(活性)に左右される。この酵素の活性がない人はALDH2の遺伝子に変異した型を持ち、飲酒で顔が赤くなるなど東アジア人特有の現象をみせることが原田勝二・元筑波大教授の研究で分かっている(連載第2章『機能・体質』編参照)。
原田元教授が地域別に調べたところ、酒に強い通常型の遺伝子の人は近畿、中部、中国地方で少なく、そこから離れるほど増加。変異型を持つ人はこれとは逆の傾向にあった。種類消費量も「通常型(酒に強い)」「変異型あり(弱い)」の分布にほぼ一致した。
原田元教授の調査では、変異型のALDH2遺伝子は白人や黒人にはみられず、日本全体では44%。それ以外では中国南部(41%)に多く、韓国(28%)がそれに次いだ。「列島内の分布と総合すると、変異型遺伝子はおそらく中国南部で生まれ、弥生〜古墳時代にやってきた渡来系弥生人が列島に持ち込んだと考えられる。縄文人は通常型の遺伝子だけを持ち、酒に強かっただろう」
≪中部に多いHLA型≫
都道府県別では、酒に強い通常型の人が多いのは、(1)秋田(76・7%)(2)岩手、鹿児島(71・4%)(4)福岡(70・4%)(5)埼玉(65・4%)など。逆に通常型が少ない(変異型をもつ人が多い)のは(1)三重(39・7%)(2)愛知(41・4%)(3)石川(45・7%)(4)岐阜(47・6%)(5)和歌山(49・7%)の順となった。


