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「これは、まさに…」 源氏物語「大沢本」 伊井名誉教授の熱意結実 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:美術・芸術
昭和初期以降、長く行方の知れなかった源氏物語の写本「大沢本」。平安文学の権威として知られる国文学研究資料館長で大阪大名誉教授の伊井春樹さん(67)の熱意は、ついに幻の写本を探り当てた。公開に消極的だった所蔵者を、「千年紀の節目であり学術的にも意義がある」と、ねばり強く説得。21日、堺市の大阪府立大で明らかにされた大沢本の発見物語に、約200人の聴衆が大きな拍手を送った。
「これはまさに、幻の大沢本…」。絹布に包まれた古い源氏物語の写本を開く伊井さんの手は、感動に震えていた。付属の鑑定書の筆致に見覚えがあったからだ。
明治時代の古典学者、小杉榲邨(すぎむら)。明治40年、一級美術品の台帳「鑑定雑記」作成のため大沢本を鑑定した。伊井さんは10年以上前から同記を研究。目の前の54帖は、そこに登場しながら行方不明になっていた大沢本に関する記述にぴたりと一致した。
伊井さんは3年ほど前、ある人から「源氏物語の写本を持っている。一度みてくれないか」との依頼を受けた。「(秘蔵品などを)みてほしいとよく声をかけられるが、大概がっかりする。ところが今回ばかりは全く違った」
糸がほつれかけ、一部に虫食いもあったが、全体の保存状態は良好。その日、カメラを持たずに出かけてしまい、仕方なくノートに記録。帰宅後急いで本を調べ確認したという。
54帖がそろっていることもさることながら、伊井さんが大沢本を貴重とする理由の1つは、これまであまり研究されてこなかった「別本」が28帖もまとまって出てきたことにある。「別本には『陽明文庫本』など重文に指定されているものがあるが、それに並ぶ大発見だと思う。戦後は大島本(青表紙系統)の半世紀だったが、見直す時期」と自信も。