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【視点】「大沢本」発見 源氏物語研究に一大画期
このニュースのトピックス:美術・芸術
源氏物語千年紀の今年、姿を現した「大沢本」は、源氏物語研究に新たな道筋を開く可能性に満ちている。何より国文学者たちが注目するのは、これまでの研究では非主流だった「別本」と呼ばれる写本が54帖中、28帖もあることだ。
日本を代表する古典として有名な源氏物語だが、紫式部の自筆原稿(原本)は残っていない。必要に応じ、書き写すことにより読み継がれてきた。だから、筆写を重ねるうちに相違点も積み重なっていく。
紫式部から約200年後の鎌倉初期、歌人の藤原定家が、さまざまな写本の中から54帖をまとめたのが表紙の色からそう呼ばれる「青表紙本」で、4帖が現存する。私たちが目にする源氏物語の多くは青表紙本系統の「大島本」をもとにしている。
また、鎌倉中期に源光行父子が校訂した「河内本」も室町中期まで広く読まれたが、定家の名声の高まりとともに廃れた。
一方、大島、河内の両系統に属さず、これまで「別本」と呼ばれてきた写本群がある。代表は「陽明文庫本」。源氏物語の最古の注釈書「源氏釈(しやく)」(平安末期)と近似し、古い表現が残り、平安期の源氏物語に迫る手がかりとなるという。
“定家以前”の別本研究は最近、新発見が相次ぐ状況にある。そのタイミングで今回、54帖そろった大沢本が出現した意味は大きい。大沢本の系統別内訳は、青表紙本系統が22帖、河内本系統4帖、別本28帖となっている。
池田和臣・中央大学教授は「源氏物語の研究は、これまでの概念にとらわれず、文献学に基づいて本文を読み込み、洗いざらい初めからやり直さなければならない時期に来ている」と話す。大沢本の公開が、その画期となることは間違いない。(牛田久美)
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