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【断 中村文則】安直なねらい打ち
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煙草(たばこ)いきなり1000円案。驚いた。
要するに「歳出削減したくない、天下り、独立行政法人など、抜本的な公務員改革もしたくない、でも消費税だと選挙で負ける、なら煙草は嫌われてるしここから税を取ろう。50円値上げとかじゃ足りないから、うーん、じゃあ1000円!」ということか。こういう安直な考えが、日本の政治なんだろうか。煙草なら上手(うま)く世論を味方につけられる、ということのようだ。
煙草には健康の問題があると指摘されている。「喫煙者のせいで全体の健康保険料が云々」と言う人もいるが、それを批判するなら、酒を飲み過ぎる人、脂っこいものばかり食べる人も批判するのが論理的だ。だけど僕は、保険料に関してそんな風に批判し合う社会は好きでない。
それと、間接喫煙の問題だ。僕達は1日に、知らないうちに大量の排気ガスを吸い込んで生きている。煙草を根絶したら、次は自動車の排気ガスだろうか。だがそんな話になるわけがない。要するに、煙草の印象が悪いのだ。
この印象を変えるには、結局マナーだ。喫煙者は僕も含め、現在の分煙社会よりもっと厳密な分煙を、自ら徹底する必要がある。
英国の煙草は約1000円というが、あそこは地下鉄初乗り料金も1000円近い。為替レートの問題もあるし、元々歴史と文化が違う。税を上げたい人はいつもこういう時だけ都合よく、諸外国の例の一部を出す。増税をする前に、まずやるべきことが多くあると思う。(作家)