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【断 青沼陽一郎】裁判員も「死に神」か
このニュースのトピックス:迫る裁判員制度
朝日新聞が6月18日付夕刊コラム「素粒子」で、13人の死刑を執行した鳩山邦夫法相を『死に神』と呼び、物議を醸した。
同紙への抗議は1800件に上り、25日には全国犯罪被害者の会が公開質問状を送るに至った。遺族が処罰感情として極刑を求めることも『死に神』と呼ぶのか、そう問い詰めたいのだろう。同会は「今回ほど侮辱的で、感情を逆なでされる苦痛を受けたのは初めて」とコメントしている。
ところが、問題はこの範疇(はんちゅう)だけに留まらない。
来年5月、司法制度改革の目玉、裁判員制度が始まる。これは誰もが死刑宣告者となり得る制度だ。
市民が有罪か無罪かを判断する陪審制度とは違って、職業裁判官3人に一般市民抽出の裁判員6人が加わって、量刑まで決めなければならない。対象となるのは、死刑判断も迫られる重大事件。どんなに死刑反対と主張しても、最後は多数決。あとで「俺は死刑反対だった」と言い訳もできない。評議内容を漏らすことは懲役刑の対象で、それも一生涯、家族に語ってもならない。しかも裁判員は衆院選の有権者からくじで選ばれ、指定日に仕事を休んででも出頭しなければ、これまた処罰対象だ。
そうやって死刑宣告者となってしまった市民をも、朝日は『死に神』と呼ぶつもりだろうか。それより、現代の“赤紙”ともいわれる新制度の宣伝文句を、能天気に『裁判員誕生!』と自ら変えた法相のセンスを、なぜ一喝しないのか。思慮の欠如ばかりが目立った。(ジャーナリスト)