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【正論】東アジア新潮流 イデオロギーから「実利主義」へ 慶応大学名誉教授・神谷不二 (1/3ページ)
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幕末から明治にかけて歴史に大きな足跡を残した勝海舟は、「時勢」とか「機運」ということをよく口にした。たとえば晩年の回顧談『氷川清話』の中でも、「西郷でも木戸でも大久保でも、個人としては別に驚くほどの人物でもなかったけれど、彼らは王政維新という機運に乗じてきたから、おれもとうとう閉口したのよ」などと語っている。
今日、世界は20世紀から21世紀への大きな転換に直面しているわけだが、この現代世界の機運をわれわれはどう捕らえるべきだろうか。第1に、それは政治から経済への転換であろう。言葉を換えれば、イデオロギーないし原理主義から現実主義ないし実利主義への転換である。
20世紀は3つの世界的規模の紛争によって特徴づけられた。第一、第二の両大戦と、これに続く東西冷戦がそれだった。それらはいずれも世界を二分して戦われた体制間闘争であり、経済的相対的な利害よりも政治的絶対的な存否をかけた闘争だった。
ソ連と共産主義イデオロギーの全面崩壊以後、しかし、国際紛争の様相は一変した。政治的体制の存否をめぐる原理主義的目標は、経済的利害をめぐる実利主義的目標に取って代わられた。
21世紀的機運の第2は、前世紀に猛威を振るった過激で偏狭なナショナリズムが克服され、温和で開放的なグローバリゼーションが発展したことである。先鋭な国益至上主義は次第に柔軟な国際主義との妥協を図るようになった。
領土への関心は低下
このような21世紀の機運が、昨今東アジアで急速に展開されつつあるのは、まことに心強いことである。韓国のデモクラシーは、金大中、盧武鉉の10年にわたる原理主義的民族至上路線を見事にはね返して、李明博の実用主義的国際協調経済路線への歴史的転換を成しとげた。

