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【生きもの異変 温暖化の足音】(21)雪が減りエゾシカ増える (1/2ページ)
■止まらない食害
「知床半島は、急増したエゾシカの食害でひどいことになっています。ウトロ高原近くの常緑高木・イチイの遺伝資源保存林では、96%が樹皮をかじられ、52%が枯れてしまった」
林野庁北海道森林管理局知床森林センターの清水亜広・緑化第一係長は表情を曇らせた。ニホンジカの亜種、エゾシカは本州産より体が大きい。
北海道の東端にあって一部が世界遺産に登録されている知床半島。生息するエゾシカは一時期、五十数頭にまで激減したが、1995(平成7)年ごろ、阿寒湖周辺からの移入が顕著に。「今は2万頭ともいわれている」という。
エゾシカはイチイの樹皮を好む。知床半島ではほとんど食べつくしたため、ハルニレやトドマツなどにも“食指”を向け始め、被害は拡大の一途をたどる。
エゾシカが増えているのは知床だけではない。98年ごろまで、エゾシカは雪の少ない北海道東部に集中していたが、最近は全道に生息圏を拡大し、約40万頭になったとみられる。
各地の森林や牧草地、畑の食害は深刻だ。道環境生活部によると、2006年の道内の農林業への被害は30億8200万円。ピークは96年の50億500万円で、89年以降の累積被害額は587億円にも達している。
なぜ、こんなに増えたのか。北海道環境科学研究センターの宇野裕之・野生動物科長は「過去の保護策や高い繁殖率、環境の変化などの要因が複合的にからんでいる」と話す。
明治時代、エゾシカの毛皮や肉の缶詰は重要な輸出産品だった。乱獲で絶滅寸前になったことから、オスは56年、メスは93年まで禁猟が続いた。その間、メスはほぼ毎年妊娠し、15〜16年の寿命の間に十数頭を産むという旺盛な繁殖力で、一気に増加した。

