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【生きもの異変 温暖化の足音】(18)迫るハイマツ 高山植物の危機 (2/3ページ)
海岸線から4キロのアポイ岳は、1年を通して海風の影響を受ける。夏は海風が運ぶ濃霧が日射をさえぎり、2000メートル級の高山のような低温が保たれる。冬は積雪が少なく雪解けも早いので、日本で最初に高山植物が咲き、一番長く花を楽しめる。
鉄やマグネシウムを多く含んだカンラン岩で構成される特殊な地質は、極限環境に適応した高山植物が生き残るには好都合だった。気候と地質が織りなす特異な環境の中で、ヒダカソウなどの固有種は独自の進化を遂げた。
だが、静岡大学の増沢武弘教授らの調査で、59年から88年までの約30年間で高山植物群落の面積は約半分に縮小したことが判明。逆にハイマツなどの針葉樹が勢力を広げ、年間0・4〜2メートルの速度で生育限界が上昇していると推定された。
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5合目の山小屋で休憩していると、ハイマツやキタゴヨウなど針葉樹の林の中にエゾシカの姿を見かけた。お花畑といわれる稜線沿いの斜面も、岩場以外はハイマツの緑に覆われている。
「アポイ岳は、高山帯と亜高山帯の区別がつかないのです」と田中さん。標高によって植生が区分される高山と違って、アポイ岳では気象などの微妙な環境バランスが、植物のすみ分けラインを定めてきたと考えられる。温暖化は一般に、高山植物をより標高の高い場所へ追いやるが、標高の低いアポイ岳では追いやられる場所さえない。
96、97年に起きたヒダカソウ盗掘事件をきっかけに、田中さんらは「アポイ岳ファンクラブ」を結成し、保護活動に取り組んできた。「盗掘と登山者の踏み荒らしを防げば高山植物は2、3年で回復すると思っていた」という。


