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石橋信夫記念館開館1周年特別企画・大和ハウス文化フォーラム (2/5ページ)
≪作家 堺屋太一氏≫
■知恵とふるまいで大改革
日本は大変な時代を迎えている。約30年前、日本は世界先進30カ国中、人口1人あたりの国内総生産は14番目だった。石油危機後の経済回復はめざましく、世界経済の牽引(けんいん)役だと指摘された。ところが、その後、バブルの赤字や不良債権がたまり、国際的地位は下がり、今では技術や金融、情報発信力など、あらゆる面で遅れた国になっている。
かつて日本が成長していたときは、官僚が計画を作った。所得倍増とか道路とか。同じような目標で大量生産していた。物財が豊かなら人間は幸せといわれていた。ところが、石油危機や環境問題などを背景に、「ものが豊かなことは、ほんとうに幸せなのか」という疑問が生じた。現代社会は官僚主導性とは合わなくなった。にもかかわらず、頑固な官僚主義がはびこっている。
そういう問題をどう解決し、どういう人が日本を変革できるのか。歴史に習うと、聖徳太子に到達する。
聖徳太子は、日本に国家らしい国家を築いた人。ちょうど仏教が入り出したころだった。宗教とともに文字や建築、組織論など、あらゆる体系的文化が持ち込まれた。聖徳太子は、文化の進んだ仏教と伝統的な日本のなかで苦しんで、一人の人間が同時に複数の宗教を信じていい、と途方もないことに思い至る。仏教でも神道でも儒教でも、いい所を取って進歩に役立てる。“いいとこどりの精神”だ。その精神が生きて、日本はあらゆる技術や制度を外国から取り入れられる国になった。
こんな時代だからこそ、聖徳太子のような人が出てきてほしい。権力ではなく、知恵とふるまいで大改革を実現した聖徳太子という人を考えてみたい。
【プロフィル】堺屋太一
さかいや・たいち 昭和10年、大阪府生まれ。作家。通商産業省在職中、日本万国博覧会や沖縄国際海洋博覧会を手がけた。平成10〜12年、経済企画庁長官。著書に『油断!』『団塊の世代』『時代が変わった』など。





