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【青雲の大和】(217)国威をもって (1/3ページ)
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夜が明けると、文麻呂(ふみのまろ)は大使、副使を救出するため、身代わりの守勝(しゅしょう)ら二人とともに王宮をでた。
うしろに衛兵五人がついてきている。明活山城(めいかつさんじょう)に着けば、五人は帰すつもりである。
山城にこもる反女王派が、はたして取引に応じるかどうかは疑わしいが、すくなくとも時間かせぎにはなる。文麻呂としては、女王側に有利になることはなんであれ、やってみなければならなかった。
身代わりの守勝ら二人は、朝もやのむこうに明活山城がみえてくると、にわかに怯(おび)えだした。金春秋(きんしゅんじゅう)に酷似している君解(くんかい)という男は、すでに殺されるのが決まっているかのように青ざめた顔でついてくる。
「逃げるな。逃げてはならぬぞ」
武官である守勝は、怯える君解にいいつづけているが、自身も土偶じみた顔が青黒く変色してしまっていた。
明活山城に通じる道の左手に、びっしりと氷が張った川原がみえてきたときである。
先頭をあるいていた守勝が、ぎょっとして立ちすくんだ。
「敵だ、おりてくる」