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【すごいぞ日本】ファイルIII 心やさし(5)“分身”で探る「存在感」 (2/2ページ)
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ジェミノイドの顔をつねる。今度は、モニターカメラで見ていた石黒さんがとても不愉快になる。
自分がつねられたと脳が錯覚するのだ。
「この実験で、人間の存在感は遠隔地に移動できることが分かった。ジェミノイドを海外に運び、私が日本にいながら講演することも可能。いわば瞬間移動装置ですよ」
小さいころから画家になりたかった。大学に入っても授業そっちのけで油絵に没頭。だが、食っていけるほどの才能はないと悟り、“保険”で勉強していたコンピューターの道へ進み、ロボット研究と出合った。
「赤ちゃんは人の顔がすぐに分かるように、人間は人を認識する能力にたけている。人とかかわりを持つロボットは、見かけが非常に重要になる」
どこまで似せていく必要があるのか。答えを出すためにアンドロイドを作り始めた。
2001年に完成した第1号は、当時4歳だった長女がモデル。発表場所に選んだイタリアは、欧米のキリスト教社会の中でも「人造人間」を神への冒涜(ぼうとく)とする意識が強いといわれる。
しかし、結果は予想外の絶賛。見かけの驚きもさることながら、ロボット開発の新たな方向性を提示したことが評価された。
世界に類を見ない独創性と、あくなき探求心。研究室には世界中から科学者が集まってくる。工学の枠を超えて、医学や哲学など異分野との交流も活発だ。
アンドロイドを不気味に感じるときの脳活動を調べ、人間との境界線を探る研究も始まった。「絵とロボットはどちらも人間を表現する手段で、よく似ている。しかし、ロボットを作れば作るほど、人間らしさを出すのは難しいことが分かった」
SFの世界から抜け出たような“分身”と向き合って、「人間とは何か」を問い続ける。(長内洋介)

