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【主張】新常用漢字表 もっと字種増に踏み込め
文化審議会国語分科会の漢字小委員会が現行の常用漢字(1945字)の表外字で、新常用漢字表(仮称)に盛り込まれる可能性のある候補字種の第1次素案を公表した。新漢字表に盛り込む可能性の高い方からS、A、B、Cに分類し、それぞれ42字、150字、27字、1字の計220字に絞り込んでいる。
ほぼ加える方向のSを除けばここからさらに絞り込まれることになるわけだから、220字がそのまま増えるわけではない。現行常用漢字のうち、銑・錘など6字を外す方向で考えるとしており、新漢字表に衣替えしても字種の思い切った増大はないとみていい。
平成17年3月に、当時の中山成彬文科相が諮問したのは、情報化の進展で常用漢字が漢字使用の目安として機能しているか、検討する時期に来ているというものだった。そこを勘案すれば、今回見えてきた字種増加に消極的な審議の方向性は諮問の趣旨に沿わないのではないか。
漢字小委は、情報機器で表外字が簡単に打ち出せる時代だからこそ、読み手の立場を配慮する必要があるという論理だ。
国語表記の基本は漢字仮名交じり文であり、漢字があるからこそ読みやすく理解しやすい。使用漢字の枠を設けてやたらに仮名の多い文章になれば、著しく読みにくく、文意も取りにくくなる。
字種選定は一見公正中立的な頻度調査結果が用いられているが、当用漢字以来の漢字制限下の文書をいくら調査しても、表外字の頻度ランクが下位に来るのは当たり前で、だから不要とはならないのである。
常用漢字の枠が窮屈に過ぎたが故に交ぜ書きや代用漢字など国語表記の混乱を招いた。そこを省みれば、この程度の字種増加で今日の書く環境の変化に対応しつつ健全な国語表記を再生させることは難しいのではないか。
頻度SやAでありながら呑・這・睨・繋・溢・或・囁・綴・焚・汲・塵・聡・牽・睦・舵などは候補漢字から外れた。いずれも言語生活に必要な文字で、仮名にすれば同訓語と衝突して文意を不鮮明にする字種も少なくない。
今夏までに追加字種を決定し、平成22年にも正式決定の運びである。拙速を戒め、次代へきちんと国語文化が継承できる新漢字表になるよう、もっと字種増に大胆に踏み込んでもらいたい。