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【すごいぞ日本】ファイルIII 心やさし(4)遊び心が生み出す技術 (2/2ページ)
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当代随一のからくり師だった田中久重は、最高傑作とされる「弓曳(ひき)童子」や茶運び人形などのほか、「万年時計」や蒸気機関車の模型など数多くの発明を手掛け、明治8年、東京・銀座に田中製作所を創業。これが後に大手電機メーカーの東芝となった。
江戸の庶民を楽しませ、近代機械産業の土台を築いたからくりの技と文化。国立科学博物館の鈴木一義研究主幹(51)は、そこに“日の丸ロボット”の源流を見る。
「日本人は自分が使う物や道具に魂が宿ると考え、愛情を注いできた。人にサービスをして喜ばせ、仲間になるロボットを作っているのは、世界でも日本だけです。だから人間型にこだわる。ホンダの『アシモ』がお茶を運ぶ姿は、からくりの茶運び人形とまったく同じですよ」
日本ロボット学会名誉会長の梅谷陽二・東京工業大名誉教授(75)は、そのアシモに能を演じさせる計画を練っている。ロボットと能楽師が共演する「からくり能」を提唱し、創作能「友月」を書き上げた。
「からくりの興行は、今でいえばロボットショーです。江戸時代にロボットがあったら、どんなことができるか試したい」
アシモが舞うプログラムも開発済みだ。
幕末に加賀藩で起きた疑獄事件を題材に、からくり師と人形「友月」の悲劇を描いた。アシモが演じる友月は人に危害を加えない。それなのに藩主の謀略で“殺人マシン”とみなされ、弾圧されてしまう。
梅谷さんは「米国ではロボットが盛んに軍事転用されており、このままだと兵隊ロボットが生まれる。戦争の技術には使わないでほしいという願いを込めた」と話す。ロボットを道具としてのみ考えるか、人の分身と見るのか。からくり人形の伝統が新たな技術の可能性を切り開こうとしている。(長内洋介)

