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【すごいぞ日本】ファイルIII 心やさし(4)遊び心が生み出す技術 (1/2ページ)
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端正な顔立ちの人形が木箱に正座している。ゼンマイを巻くと、正面の紙に向かって筆を走らせる。数秒後、紙がパタリと手前に反転して、「寿」の文字。人形は「どうだ」と言わんばかりに得意げな表情を浮かべる。幕末のからくり人形師、田中久重が約150年前に作った傑作「文字書き人形」だ。
木箱の中にカムと呼ばれる複数の丸い板がある。縁に凹凸があり、回転すると人形の手が上下、左右、前後に動いて文字を書く。カムを切り替えるとプログラムが変更され、松竹梅の3文字も書ける。
精巧な仕掛けと高度な演出。からくり人形の保存・伝承に取り組む大阪府寝屋川市の東野進さん(58)が2004(平成16)年、米国の収集家から購入して日本に戻ってきた。
「からくりは、蘭学を学んだ町人学者が自分の腕を見せるために作った」と東野さんが説明する。
「ホンダやトヨタが技術力を宣伝するためにロボットを作るのと同じですね。でも、現代のロボットは機能だけで味がない。遊び心や芸術性では、からくりに勝てませんよ」
からくりは日本古来の人形作りと和時計などの技術が融合して江戸時代に発展し、見せ物の興行として広まった。戦国時代が終わり、需要が減少した鉄砲の技術が平和利用されたことも背景にあるという。

