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【新国語断想】塩原経央 新常用漢字表 言語文化継承に配慮を (2/2ページ)
字形に最も多くの情報を有する、現存する文字のうちで唯一の言葉を表す文字つまり表語文字なのである。それを、枠を設けて規制しようとするのは見当違いも甚だしい。
ただ、既に新常用漢字表(仮称)は字種選定の段階だから、筆者の声などもう届かない。そこで、ぎりぎり要望したいのは新常用漢字表の字種選定では、私たちの孫子の代でも漱石、鴎外、龍之介などを楽に読みこなせるような漢字を取り入れよということだ。漢字制限のバイアスがかかる戦後文書の使用頻度調査など参考程度にとどめおくだけでいい。
文字はそれによって思いを巡らし、思いを伝えた遠い祖先の知恵や知識をそのままにとどめている。私たちがその恩恵に浴したように、それは子々孫々に至るまで継承されなければならない高度の公共財だ。一時代の便宜に供するためだけにあれこれいじくり回すのは、現代人の傲慢(ごうまん)というものである。
それでもというなら、字種や字訓を大幅に増やすか、制限色を完全に取り外して、ルビ活用を明記する配慮が望まれる。