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【秋山仁のこんなところにも数学が!】(17)六合マスの威力

2008.5.6 08:42

 いまでは、料理のときに用いる計量カップには目盛りがついているので、どんな量でも簡単に量れます。しかし、昔の酒屋さんは、目盛りが一つもついていない六合マスを使って、店の酒樽(だる)からお客さんの容器へ1合、2合、3合、4合、5合、6合のそれぞれの量の酒を正確に量り出していたそうです。一体、どのように量り出していたのでしょうか。ただし、その際、衛生上の都合から酒樽から酒をくみだすのは1回限りとし、六合マスから酒樽へ酒を戻したり、お客さんの容器に酒を注ぐことは何回でも行ってよいものとしましょう。

 6合を量り出すには、六合マスいっぱいに酒をくみ出せばよいので、簡単です。そこでまず、3合の量り出し方を考えましょう。

 6合マスを図1のようにまっすぐに傾ければ、酒の量は6合のちょうど半分の3合となります。次に簡単なのは、1合の量り出し方です。六合マスを図2(a)のように、水面が底面の対角線と上面の1点を通る二等辺三角形になるように傾けると、容器に残る量はちょうど1合です。その理由は、マスの見方を図2(b)、図2(c)のように変えれば分かります。これらの立体が表す酒量はぞれぞれ三角柱、三角錐(さんかくすい)の体積で、両者は同底同高なので、体積は3:1になるからです。

 ここまでで、1合、3合、6合の量り出し方が分かりました。後は、これらの組み合わせです。5合だったら、酒樽から6合マスいっぱいに酒をくみ出し、その後、マスに1合だけが残るように、お客さんの容器に酒を注ぐ。2合だったら、6合マスに酒を3合くみ出し、その後、マスに1合が残るまでお客さんの容器に酒を注ぐ。

 最後に、一番難しいのは4合の量り出し方です。はじめに、マスいっぱいに酒をくみ出して、マスに3合だけ残るまでお客さんの容器に酒を注ぎます。次に、マスに1合が残るまで酒樽へ酒を戻し、残った1合をお客さんの容器に注げば、合計で4合が量り出せたことになります。

 昔の酒屋さんは算数の達人だったのですね。

(東海大教育開発研究所長)

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