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【青雲の大和】(212)新羅の砦 (2/2ページ)
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「女王を廃し、新王を戴き、その新王とともに唐軍をひきいれて高句麗、百済を討つ。これは義挙ではない。大国に国家をうりわたす売国的行為である。唐がこれを機に新羅、高句麗、百済三国を占領し、この半島を属州にしようとしているのをあなたがたは知らないのか」
ここで漢語に変えたのは、訳を止められるのをさけるためである。
●曇も漢語に変えてきた。
「それこそ愚かなる妄言(もうげん)というものだ。どこできいたか知らぬが、大唐は天子の国、われらを救うのは天子の兵、天兵である」
「その天兵をひきいる者の名を廉宗どのなら、知っておろう。大将軍徐世勣(じょせいせき)、いまは皇帝李世民(りせいみん)から姓(せい)を贈られて李世勣と名乗る人物であるが」
玄理がそういうと、廉宗は小づくりの顔をひきしめ、つぎのことばを待った。
「じつをいえば、徐世勣、わたしの古くからの盟友である。たとえ首をはねられようと、たがいに相手を裏切らない刎頚(ふんけい)の友である。その徐世勣が語ってくれたのだ、汝(なんじ)ら新羅の売国的策謀と、唐帝の半島征服の野望を」
話しながら玄理は、この場で徐世勣の名をだすことの効果を考えていた。
新羅が天兵としてたよる唐軍の総帥が、わが盟友であることを知れば、少なくともこの者どもは、われを殺害することはできまい、と。(●=田へんに比)