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【断 さかもと未明】モンスターになろう
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出演している番組で、「モンスター新入社員」を扱うトピックを興味深くみた。
「言葉遣いがなっていない」「給湯室でたばこを吸いながら上司の悪口をいう」など、一昔前ならありえないような新入社員が登場して失笑するしかなかったのだが、そういう未熟さを「モンスター」といって恐れ、眉(まゆ)をひそめているだけの風潮は、何か違うような気がした。
ただ、本当に指導する気にもならない新人は確かにいる。実は私がそうだった。なんてったって定時に会社に行けたことがなかった。当時漫画家になりたいのになれず、「とりあえず生活費は稼がなくては」という動機で就職した私は、連日朝まで投稿原稿を描いていた。昼間働けるわけがない。
そんな私を呼び出した上司が言った。「夢があるならリスクを負って命がけで追え。ただの生活費ほしさに、いい加減な気持ちで会社にこられたら迷惑だ」。そんな正論を言われたのは初めてだった。それまでは周りの友達や両親などに「夢は叶(かな)わない場合がほとんどだから、就職はしたら?」くらいのことしかいわれていなかった。しかしそれは、私的な都合でしかない。社会に出て初めて、自分の過ちを許してくれない“モンスター”に出会った気がした。
私は翌日辞表を出し、不安に泣きながら原稿に向かう生活を2年して、デビューした。あの上司に出会わなければ、デビューはなかった。そして、こう思うのだ。
私たち大人こそがモンスターにならなくてはならない。若者はモンスターに出会って、成長するのだから。(漫画家)