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【断 二宮清純】常識の“逆”行く若武者
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河川敷のグラウンドでやっていた少年野球の試合をたまたま観(み)ていて驚いた。スタメン9人のうち7人が右投げ左打ちだったのだ。おそらく指導者か親のアドバイスによるものだろう。
野球をやる上で右投げ左打ちはきわめて有利だ。どのポジションでも守れることに加え、打席に立った場合、投手は右が多いため、右打ちに比べ、ボールの出所を確認しやすい。加えて一塁までの距離が右打ちよりも近いときている。
メジャーリーグで活躍している日本人野手の筆頭といえばイチロー(マリナーズ)だが、言うまでもなく彼は右投げ左打ちである。松井秀喜(ヤンキース)、福留孝介(カブス)もそうだ。こうした成功例を見れば、指導者や親が右利きの子供を左打ちに変えるのもわからないではない。
そんななか、異色の新鋭が球界の常識を覆す活躍を演じている。巨人の坂本勇人だ。高卒2年目の19歳ながらショートのポジションを確保し、2割7分4厘(1日現在)という好成績を残している。この坂本、普通の右打者が苦手とするインローのボールをいとも簡単に打ち返す。そのバットコントロールの巧みさは名人芸といってもいい。セ・リーグ史上最年少の満塁本塁打もインローのストレートだった。
実はあまり知られていないが彼は左利きの右投げ右打ちだ。それゆえ、ヒザ元の難しいボールも利き腕の左手でうまくすくい上げることができる。これまで非常識とみなされていたことが成功への近道というのは痛快な話である。(スポーツジャーナリスト)