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【断 横田由美子】矜持なき官僚

2008.5.1 03:50
このニュースのトピックスコラム・断

 4月21日、防衛装備品の納入をめぐる汚職事件で、収賄罪などに問われた前防衛事務次官、守屋武昌被告らの初公判が開かれた。冒頭、守屋被告はこう謝罪した。

 「国民のみなさまに、多大な迷惑をかけたことを、深くおわび申しあげる」

 彼が「防衛省の天皇」と呼ばれていた頃、何度か次官室で会ったことがある。その当時、防衛省では「海上自衛隊の情報漏洩(ろうえい)」など不祥事が頻発していた。

 「兵汗を拭わざれば、拭うべからず。兵食わざれば、食うべからず。兵と艱難(かんなん)を同じうし、労逸を同じうする時は、兵も死を致すものなり」

 と、守屋被告は日露戦争時の「陸の軍神」の言葉を引用して、防衛官僚としての矜持(きょうじ)を取り戻すべきだと語った。しかし、裁判で明らかになったのは、2500万円を超える接待の全貌(ぜんぼう)だった。部下たちが汗を流し、命を賭して職務にあたっていた時、上官はゴルフ場で、爽快(そうかい)な汗を流していた。

 三流官庁と小馬鹿にされていた防衛庁の存在意義を高め、省昇格への道筋をつけたという意味での功績は否定できない。だがそれ以上に、現場自衛官の士気を下げた罪はあまりに大きい。

 国家の繁栄を願い、国民のために身を挺(てい)して働くのが官僚だ。最近、「最後の財務官僚」などと、優秀な官僚にそのような冠がつけられるのを、霞が関の官庁街などで聞く。それだけ、以前よりも、官僚らしい官僚がいなくなっているということの表れとも、言えないだろうか。

(ルポライター)

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