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【秋山仁のこんなところにも数学が!】(16)貝殻の螺旋が示す不思議
今年のGW後半はちょうど大潮に当たり、潮干狩りには絶好なのだそうだ。ご存じのように貝には2種類あります。1つは二枚貝で、その代表はアサリやハマグリ。もう1つは巻き貝で、サザエやタニシです。
この巻き貝や二枚貝には、外側の殻に驚くような秘密があります。まず、巻き貝について説明しましょう。
図1は巻き貝の渦を真上から見た形を整形したものです。この図を切り抜いて、次の実験をしてみてください。渦の中心を針のようなもので固定し、この図を時計の針と逆の方向に回します。すると、渦が回ったとは見えず、渦が大きくなっていくように見えます。実験を何回か繰り返せば、きっと納得できるでしょう。これには確かな理由があり、決して目の錯覚ではありません。大きなルーペを用意し、これを新聞紙から次第に離していくと、渦は次第に大きくなります。
通常、生き物は体形が相似的に成長します。貝の成長を考えると、海底の養分は場所によって、殻だけの成長に適していたり、中身の肉だけに適していたりすることがあります。この殻の形は中身の肉が殻にピタリと合って身をネジりながら相似的に成長するためには最適なのです。
この性質を持つ渦を対数螺旋(らせん)と呼び、図1の点Aの角度は螺旋上のどの点でも一定になります。不思議なことに、世界中の巻き貝は、巻き貝ごとにAの角度は違っても、すべて対数螺旋になっているのです。
次にアサリやハマグリなどの二枚貝を調べてみましょう。図2(a)は二枚貝を横から見た断面図で、一見、対数螺旋とは縁がなさそうです。ところが、図2(b)のAの角度を見ると、やはりどこをとっても一定になります。つまり、巻き貝の対数螺旋を誇張したのが二枚貝の曲線なのです。
数ある螺旋のなかで、このような完璧(かんぺき)な形の対数螺旋だけを貝が選んだのは、とても不思議です。(東海大教育開発研究所長)

