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【青雲の大和】(206)新羅の砦 (1/3ページ)

2008.4.29 08:30
このニュースのトピックス青雲の大和

 新羅(しらぎ)が女王の時代を迎えているとは、玄理(くろまろ)は六年まえに唐から帰国するまで知らなかった。古来、女の地位が高い大和では、三韓を征したとつたえられている息長足姫(おきながたらしひめ)(神功皇后)をはじめ、小治田(おはりだ)の大君(推古天皇)ほか女人が治世に臨んだ例がいくつかみられるが、まさか大陸でそのようなことが起きようとは、思っていなかったのである。

 調べてみると、新羅では先代の眞平(しんぺい)王に男子がなかったために、長女が位を継いだということだが、問題はこの徳曼(とくまん)女王がいま、どれほどの力を保っているか、である。

「もし女王が臣民の信頼を失ってしまっているのであれば、打つべき手を見直す必要があるが、どうだ」

 新羅にむかう船中での打ち合わせで、玄理は中臣押熊(なかとみのおしくま)と文麻呂(ふみのまろ)にきいてみた。

「見直す、ともうされますと……」

 副使の中臣が問い返してくる。

「われわれの目的は、いかにして新羅をとりこむかである。いま、新羅を唐の支配下に追いやるならば、半島はたちまちにして唐の属領と化するであろう。これを防ぐには、なんとしても新羅をわれわれの側につなぎとめておかねばならない。徳曼女王の王室と組むことによって、それが実現できるのかどうかだ」

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