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【青雲の大和】(200)この日のために (3/3ページ)
このニュースのトピックス:青雲の大和
それを眼にしたとき、玄理は大陸の運河で夕陽を浴びながら敵をたたき斬った日のことを、まざまざと思いおこした。盟友、徐世勣(じょせいせき)が指揮する義賊、瓦崗賊(がこうぞく)が襲撃して乗っ取った隋(ずい)の官船の船上である。
あの日から三十五年の歳月が経っている。しかし、玄理のからだを流れる血は変わっていないつもりだった。
怒りを眼ににじませて迫る玄理をまえに、じりじりと後退した男は、ふりしぼるような声をあげて突進しようとした。
瞬間、玄理の眼には、跳ね起きた雄君が勢いよく男の背にくらいついていくのがみえていた。
玄理はそれをみさだめてから、悠然と身をひるがえし、大伴の邸内にはいった。
−−おのれが十八歳であれば、
と、玄理は思った。
あの者をゆるせず、剣をうばって叩き斬ったであろう。しかし、五十路(いそじ)を急ぐいま、そのようなことに関わっているひまはない。大化改新の大綱には目処(めど)をつけたとはいえ、玄理にとって成さねばならぬことはあまりにも多いのである。