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【青雲の大和】(200)この日のために (1/3ページ)
このニュースのトピックス:青雲の大和
ひざまずいて玄理(くろまろ)をみあげる雄君(おきみ)の眼に、当惑の色がうかんでいる。
が、蘇我(そが)勢の刺客、倭馬飼(やまとのうまかい)なる者が心を改めて、ここにでてきたことについては、雄君は少しも疑っていないようである。
「そなたがこの者を説得し、改悛(かいしゅん)させたということか」
玄理が雄君のために、あえて問うてやると、
若者らしい素直な笑みが顔にもどってきた。
「はい、乱をおこした秦田来津(はたのたくつ)、文麻呂(ふみのまろ)、皆ゆるされて臣下にとりたてられようとしていることを話してやったのでございます」
大化改新を潰(つぶ)すべく、玄理、日文(にちもん)の暗殺をくわだてていた者が、その程度のことで改心するのかどうか、疑いはのこったが、
「よし、この者の処分については、内臣にあずけることとする」
そういったあと、
「ただし、その剣をはずせ」
と命じた。
男は腰の剣を鞘(さや)ごと抜いて、雄君にわたすと、一礼して立ちあがり、兵二人にはさまれて歩きだした。