ニュース: 文化 RSS feed
【断 佐々木譲】寒々しい明るさ
このニュースのトピックス:コラム・断
経済産業省が、白熱灯の生産停止の方針を打ち出したそうだ。温室効果ガス対策だという。なんでも白熱灯は消費電力が蛍光灯の5倍、寿命は5分の1なのだとか。
でも、ちょっと待て、と北国の住人としては言いたくなる。蛍光灯のあの青白い光は、オフィスや工場には合うだろう。しかし家庭の居間にはどうだ? そこに蛍光灯の明かりしかなければ、その空間はなんとも寒々しいものにならないか。その街並み全体もだ。
北国の住人は、白熱灯の光を必要としている。あの赤い温かみのある光になごみ、くつろぐのだ。だから不経済は承知で、居間のどこかに1灯ぐらいは白熱灯を使う。
個人の住宅だけのことではない。たとえばレストランの照明が蛍光灯だったら、そこで出される料理が美味(うま)そうに見えるだろうか。ライブハウスやコンサートホールまで、蛍光灯の白々とした照明で満たすのか?
温室効果ガス対策で白熱灯の生産停止なんて、やりすぎである。たぶん業界の意向でもあるのだろうが、PL法のときと同様、現実を知らない役人たちの暴走だ。
もしそんな事態がきたら、わたしは白熱灯を買いだめする。ストックが切れたら、中国製でも買うだろう。暖色系の蛍光灯も出ているが、まだとても白熱灯の代わりにはならないし。
レストラン業界の反応を知りたい。多少の格の店なら絶対に蛍光灯は使うまいと思うのだが。蛍光灯を使うくらいならむしろロウソクにする、という店が出てくるような気もする。(作家)